ドロイド進化論


 ヒトと違い、サイバノイドの来栖は飲食することはない。
そういう機能は備わっていないためだ。
ちなみにバイオノイドは有機体を維持するために飲食する。

 そのことを思いださせてしまったかと一瞬危惧したが、来栖の思考は相変わらず違う何かで占められていた。


 運ばれてきたクッキーと紅茶。
クッキーは出来合いのもので、こんなときだというのに葛城は少しだけ寂しく思った。


温かい紅茶から立ち上る湯気に絡まる優しい匂いが、広くはない部屋を満たしてく。

 しかしそれにより葛城に人心地がついたのもつかの間、来栖の言葉を聞いた刹那、彼女は凍りついた。


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