Escape ~殺人犯と私~
2…
DVのトラウマのせいで、逃げる事が出来なかった。



例えトラウマの無い人でも、血の付いたナイフを突き付けられたら

果物ナイフ程の小さくても、抵抗出来る人は滅多に居ないと思う。



精神的に拉致された私は抵抗する気力を失い、人形のような体を少年に連れさらわれる事になった。



彼氏に着いていくように、少年の後を着いていくと

日中でも多数の人が行き交っている代々木駅近くに着いた。



そして、駅近くにある塾の入っている建物へ向かうと、塾の生徒に紛れながら建物内に入っていった。



今は2月で受験シーズンにあたるため、塾生達の雰囲気は社会人のように厳しい表情をしている。



学生に連れられている私が拉致されているという事実に、誰一人として気付くはず無い。



制服姿で男女だから、誰がどう見ても高校生カップルにしか見えないからだ。




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