Escape ~殺人犯と私~
然と顔が赤くなり



顔を上げる事が出来なくなった。




そんな姿を見ても、少年は意味を理解していない様子で



「意味がわからない。早く部屋に入れ。」




淡々と言葉を発した。




私は、冗談でも生理とは言えず

恥ずかしくて泣きそうな顔を両手で隠すように、少年を見上げた。




「か……買ってきて……」




私のたどたどしい言葉に

さすがに、少年も理解してくれた様子で



大きなため息をついた。



そして、彼は一度居間に戻ると


脱衣場でうずくまったままの私の前に戻ってきた。



ボサッ。と、私の足元に服が落ちた。



「早く着替えろ」



低い声で私に告げた。



らまさか、思い付きの作戦が


ここまですんなりいくとは思わなかった。



少し戸惑いを隠しきれない私を一瞥して



少年は先に玄関へと向かった。


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