Escape ~殺人犯と私~
りほどく。



顔を伏せてる私から視線を逸らすと




少年は、ふらりと壁にもたれた。





エレベーターは2階の塾の階で止まり




開いた扉の向こうには、制服姿の男子生徒がいた。




塾のプリントを貰いに来たらしく


プリント片手に、受付に居る講師に礼を言いながら乗った。



エレベーターの扉が閉まった。




距離を置いて沈黙してる私達は、ケンカしたカップルに見えるようで



学生は気まずそうな表情をしながら、プリントをカバンに閉まっていた。



狭いエレベーター内に響くチャックを閉じる音が止まると


学生はエレベーターが止まったまま動いてない事に気づいて



気まずそうに手を伸ばしてボタンを押した。






私は少年に抱いたこの感情に困惑していた私は


学生にお礼を言う余裕すらなかった。
すぐに、エレベーターは1階に到着した。



扉が開くと、私は学生に続いてエレベーターを降りた。






けど




少年は壁に背をもたれてうつむいたままで




そこから降りる様子はなかった。
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