新月の夜
進まなければいけないという思想ですね。」
「で、寝たの?二人は。」
「な…!?」

あつきはイライライラ。

「お兄さんだって奥さんと寝たから赤ちゃんできたのだし。」
「それとこれとは別だ。」
「じゃあ縛るの?きれいなままずっとしまっておくのです?」
「…わかっていますよ。あの性格だ。いずれは寝るだろう。認めてないわけではない。あの人ならいいと思う。抵抗したいだけ。兄の悪あがきだ。私だってそりゃパパになる立場。ただ、私達が何を言っても変わらない。悟ってます。あの人と結婚する。あの人の子供を産む。兄さんも感じているはず。何かで繋がっているみたいに感じる。一番上の兄には感じない。兄さんとあ〜やと私だけが感じる何か。」

悠太は、

「3人で一対。母さんの時でもそうだった。」
「…かも知れません。でも、兄さんの相手は、近くにいるはずなのにもやもやしてる。」

悠太の携帯に電話。

「あれ?兄さんからだ。いいですか?」
「どうぞ。」


「もしもし?悠ちゃん?兄ちゃんだよ。母さんが女の子産んだ。」
「母さんが?」
「2時間くらい前にひどくなって、5分くらい前に産まれた。」
「で、母さんと赤ちゃんは?」
「いたって元気です。また帰ったら写真あるから。父さんが張り切って撮ってて…。母さんも笑いっぱなし。義人おじさん夫婦からは呆れられて。待望の女の子ですから。それに呪いの心配から解かれた安堵からかな?かわいいですよ。楽しみにしててくださいね。お兄ちゃん。」
「わかりました。父さんと母さんによろしく。で…兄さんにお兄さん呼ばわりされたくない。」
「だって最初に呼びたかった。母さんは悠ちゃんがお兄さんになるのを望んだ。」
「…ただいかがわしいの事が好きなだけ。」
「…早く帰っておいでね。じゃ。」


あつきは、

「産まれたのですね。」

麻友美は、

「妹なんだ。」
「ああ。」
「いいなぁ、私、妹いないからうらやましい。」
「麻友こそ弟いるし。しかも…。」

あつきは、ひそひそ、

「そのうち妹さんになりますよ。」
「……。」
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