新月の夜
に嘘つくの?」
「……。」
「大丈夫、話したら口聞かないから。」
「それはやめろ!」
「お兄さん公認カップルっていいじゃない?」
「…でもなぁ…彼女ってかなり…。」
「絢ちゃんが好きになったんだもん。甘え上手だよ。祐と合ってるよ。ふふふ。じゃあ寝よっかなぁ。妊婦って案外眠い。」
「どうぞ。」

兄と弟はそっと付き添っている。眠るのを確認する。

「祐…いいのか?」
「…兄さんにも知れた…わからない。」
「麻友は世話を焼いただけだ。」
「そうだと思ってた…最初はね、だから戸惑ったというか今も釣り合ってないと思ってる。…でも、絢ちゃん積極的なんだ。偽りのない笑顔と甘えたカオ。姉さんには嘘つかないよ。そんな悪い人じゃない。接しているとわかる。じゃないとお兄さんに認めてもらえないよ。人の良すぎるお兄さん。自分より妹の幸せを願ってるような人。もうひとりのお兄さんにも知られている。姉さんのマネージャーさんなんだけどね。マネージャーさんは妻子いるよ。最初はお兄さんらしく、抵抗していたけど、今は優しくしてくれて。兄弟のように接してくれる。二人で外には出れないけど。部屋で一緒に過ごすんだ。僕だけだとおかしいから姉さんや、悠太君や、さおちゃんらが一緒に来るんだ。他の人らはばらしそうだから内緒。」
「…だからよく麻友と出かけるわけだ。」
「絢ちゃんといると安らぐ。安心する。料理も上手いし、家事はお兄さんの分もしてる。買い物中に高い所のを取ろうとした時にお兄さんが手伝っただけで撮られたみたいだし。もうお兄さんはお兄さんだけど。」
「……。」
「兄さん、内緒だよ。姉さんの事黙っていたんだからできるよね。」
「…まあね。それにしても意外だ。ふふふ。羨ましいぞ、弟よ。」

ギュッ。

「兄さん…痛いよ。」
「し〜っ、麻友が起きる。」
「だって…。」


義人はというと、二人の寝室。
(子供達は、別の部屋で眠ってる。)

「なあ未亜。」
「どうしたの?」
「あのな…悠太が…。」
「悠太がどうしたの?」
「内緒だぞ。大声出されたら困る。」
「だから何よ?」
「悠太が妊娠させた。」
「はぁ!?」

義人は未亜の口を塞いで、

「声が大きい。」
「…どういう事?」
「そのままだよ。」
「あさみは知ってるの?」
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