新月の夜
(万里?…病気なんて聞いてない。)


「絢美と彼女が会った次の日だった。学校から電話で全て知った。この世にはいない。すぐに駆け付けた。すると彼女の母親は泣き崩れていた。母親は私を見て、」


「亜希さんという方を見つけたら言って下さい。」
「え?」
「あの子の為。」
「亜希?…僕は亜希ですが。」

母親は、

「男の子?」
「牧野亜希と申します。」
「…万里の恋人?」
「…何一つらしいことはしていませんが。」
「…万里に恋人いたんだ。何も聞いてなかった。聞きもしなかった。あの…これは万里が最期に書いた手紙です。万里はこの手紙にかぶさって息絶えてました。。きっと書ききって力尽きた。」

亜希は手紙を受け取り、開ける。


亜希へ、

きっと私がいなくなってから見てるんだろうな、あなたに会えてよかった。ずっといれないのは寂しい。だって亜希は私にとってかけがえのない人よ。亜希と隣の席になった時、教科書見せて?と言ったよね。実は、忘れてなかったの。亜希と話したくて、嘘ついたんだ。一目見た時から、私、亜希に恋したんだ。だからあの後も亜希が来たら、おはようと抱き着いたりしたんだよ。体育祭、ムカデ競争、楽しかった。亜希の後ろでこけたり、バランス崩れたり。笑った。私がこけて、怪我した時、ズキズキした足に気付いて。保健室行こう、と抱っこしてくれた時。他の女の子達がきゃ〜きゃ〜言って、嫉妬した。保健室。亜希が処置してくれた。亜希は、また来るからじっとしているんだぞ。と言ったよね。私は、待って!と止めた。痛い?と心配する亜希に、


「…好き。」
「え?」
「あ〜ちゃんが好き!」


私は抱き着いたね。


「…足がズキズキするの。それより、胸がズキズキする。」
「桐谷…?」
「ねえ、止めて。胸のドキドキ。」
「桐谷…。」


と亜希は、キュッと抱いてくれた。それから、手を繋いだりしたね。高校へ入学した日、中庭のベンチで、いつか結婚しようと誓った。ごめんなさい。果たせなかったね。妹さんと会ったよ。かわいい女の子。彼女が私の年になったらとびっきりの美人さん。到底敵わない。一目で虜になった。忘れないでね。亜希は幸せでいて?生まれ変わって会いたい。最後のお願い。この手紙を見た時、私がまだ灰になってなかったら、キ
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