特等席




「到着」





じゃれあっていたらいつのまにか家についていた





「ありがとう、彼方」



「いーえ」



「今日もご飯食べて行く?」



「お、なら行……」





~♪♪




今流行りの歌がいきなり流れて体がびくついた




あっ、彼方の着信音か…。





彼方が携帯を取出して開いてため息をついた




「メール?」



「ん。彼女」



「なんて?」



「会いたい、って。」





あー…彼女さん、駄目なんだよ。彼方にそんなメール。




休日ならまだしも、部活のあとにましてや家についたときに会いたいなんて。




彼方君は会いたくないんだよ、平日に部活終わりは疲れてるから。




基本的にめんどくさがりやだから




だけどここで断られたらさすがに彼女が可哀想だよね…





「めんどくさい」



「うん、だけど行ってあげな」



「あっ、日向ん家のご飯…」



「まだ約束してないよ。ほら、彼女待ってるんじゃないの?」




見た感じ、行きたくないオーラがすごい勢いで見える。




「ご飯、待っててあげる。彼方の好物作っとくよ。だから嫌がらずに行きな」




軽く背中を叩くと決めたらしく




「行ってくる。好物頼むぞ。あと先食うなよ!」




え、やっぱ待たなきゃ駄目?




「じゃな!」




軽やかに走って行く彼方。




つーか彼女に会いにいくために好物が必要っておかしいよね!?




普通喜んでいくよね?なのに好物がないと行かないなんて…彼女さん不憫だ(涙)




とりあえず、彼方の好きなシャーベット作らなきゃね。





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