治癒術師さんに取り憑いた魔導師さん


この上ない早さで、私が部屋にあった椅子を持ってきたのは言うまでもない。


ありがとうお姉ちゃんっ、と元気よく言って、しかもお辞儀つきの礼儀正しいもの。で、椅子に膝をつけての座り方をしてパシャパシャと顔を洗っていた。


タオルを渡せば、顔を拭いてきちんとたたんで私に渡すというお利口ぶり。


備え付けのブラシで髪を整え始めるが、どうにも不慣れな感じだ。


不器用な、少しギクシャクしているようで上手く出来ない。


「アリスちゃん、やってあげる?」


後ろから言えば鏡越しに、ひまわりみたいな明るい顔をしたアリスちゃんを見られて、ブラシを渡された。


私に髪をすいてもらうからか、椅子に行儀よく座り、床上につかない宙ぶらりんな足をぱたつかせ喜んでいた。


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