恋するキャンディ~私だけの甘々不良彼氏
「とうま…くん。映画は?」

やだ。声震えてるし。

「映画、オレの部屋で見よーぜ。ベッドの中で…な?」

あはは…

絶対映画に集中できないよぉ。




当麻くんは笑みを含んだまま、ある部屋に入る。

それは、さっき鍵のかかっていた一部屋だった。

「中にいないのに、自分の部屋に…鍵かけるんだ?」

「…いないからだろ?」

何か…これじゃまるで、同じ家に住んでても、世帯分けてるみたいだよね。

うちじゃまず考えられない…。


「おかしいか?」

「…うん。中にいる時に鍵かけるのは分かるけど」

「開けてると何見られるかわかんねえじゃん。信用なんないんだよ、うちの両親は」


…そうなんだ。

信用できない家族…なんだ。

やっぱちょっと複雑そう。



「血が…繋がってないとか?」

「そうならどれだけ気が楽か…嫌なぐらい繋がってるぜ。オレ、この家の血統書付きだし」

「あは。犬みたい…」

「犬みたいなもんだよ…」

当麻くんはぼそりと呟き、部屋の中に入る。



犬って…。

そういえば、さっきお兄さんの事も

お父さんの犬だって言ってたよね。





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