神への挑戦
そして12年の時が経ち、二人は18歳になった。

そして、ジンとゲンは自分たちの帰るべき場所に向かう事になる。

幼い頃に誓った約束を胸に、自分が出来る精一杯を…生きた証を刻む為に。







「ゲンは約束を果たす過程で、魂の帰るべき場所に帰った。そして俺は、昔の居場所に帰る事を選んだのさ…」

重たい…非常に重たい話を聞かされたハヤト。

信じられない話だった。だがハヤトは、ジンの言っている事が理解出来なかったわけではなかった。

この時ハヤトは、外が異常に騒がしい事に気付いていた。おそらく、ジンが行ったこの行為が問題になり、警察が駆けつけたのだろう…。この会議室に来るまでの過程で、この会社の従業員を見てはいないハヤトだったが、ジンの仲間の誰かが会社の社員を監禁しているんじゃないかという事ぐらいは読めていた。

それはそれでかなりの大事なのだが、ハヤトは正義の味方でもなければ、警察官でもない。なので、彼等を助け出そうという気持ちははっきり言って少しもなかった。

ハヤトにしてみれば、こんな立て篭もりよりも、ジンに聞かされた話の内容の方が、問題事に感じたからだ。

「この会社が本当に、その組織と関係しているってのか?」

「間違いないよ。そうじゃなきゃ、俺がこの会社に攻撃なんて仕掛ける訳ないでしょ?」

ジンはブラインド越しの窓から見える景色を視界に収めながらハヤトに話しかける。ハヤトはそんなジンの近くに寄ると、窓からブラインド越しに外に視線を向ける。

窓の外は、野次馬や警察官などなど、たくさんの人でごった返していた。その光景を視界に収め、一人笑みを浮かべるジン。

「予想通りだ。あそくに居る一人一人が、俺の計画の協力者になるって事も知らずに…」

「協力者?」

ジンの協力者という言葉に引っかかったハヤト。ジンにとっては、あそこに居る人の山は、邪魔者以外のなにものでもない様な気がするのだが。
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