神への挑戦
「協力者だよ彼等は…睡蓮会にとって、あそこに居る人間は、邪魔者以外の何者でもないからね。それとハヤトに少し協力してもらいたい事があるんだ」

「…一体なんだ?」

ジンはそう言うと、リュウに視線を送り合図を送る。それを受けたリュウは、返事を返すことなく軽く頷くと、会議室の机に置いてあった鞄を取り出し、それを開ける。鞄の中に入っていたものは…。

複数の拳銃だった。リュウは拳銃を二丁取り出すと、それをハヤトに差し出す。ハヤトは目の前にある拳銃を見て、かなり驚いた表情をする。

「これから俺とリュウは、睡蓮会のアジトに進行を開始する。ハヤトにも着いて来てもらいたい。これは護身用に俺からのプレゼントだよ…それに俺に着いて来れば、ハヤトの会いたい人物にも会えると思うよ」

「会いたい人物?まさか…」

ジンの会いたい人物の言葉に、ハヤトは嫌な予感を感じていた。ハヤトが一番会いたがっている人物。それは間違いなく…。

「ハヤトはタケシに会いたいんでしょ?俺の調べでは、タケシは睡蓮会の構成員の一人だよ…それも大幹部の側近だ」








椎名製薬工業本社の前で、警察官が立て篭もりをしている青年達と、交渉をしている頃、エースは小宮と難しい表情で会話をしていた。

「まずミストの活動の真意は、麻薬の密売で儲ける事じゃなかった。ミストが裏で麻薬の密売をしていた本当の目的は、複数の麻薬常習者を探す事にあったんですよ…」

ミストが最初にした事は、裏で麻薬を高額の給料で未成年に売らせる事だった。その行為がきっかけで未成年が大量に、麻薬譲渡及び販売で警察に捕まる事になったのだが、ミストがしたかったのは、未成年に麻薬を売らせ、利益を上げる事ではなく、麻薬常習者の顧客を作ることにあった。

「麻薬の常習者の情報を大量に確保したミストは次に、その情報を元に麻薬の販売を開始した。それがブラッグウィングズとホワイトテイルズって言う組織です。麻薬の販売自体は、顧客リストがあれば販売をするのはさほど難しくないですしね…でもミストの目的はこれで完結でもなかった」

顧客を入手し、自社工場で麻薬を栽培し、販売した利益で良い夢を見る…その程度の組織なら良かったのだが、ミストは違った。
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