神への挑戦
エースはそう言って、テーブルの上に無造作に置いてあるカードを指差した。

「あのなエース…こういう代物は、然るべき場所に保管しとく物だろうが」

「ちゃんと保管してたさ…でも今日、メイちゃんの銀行にお金を預けようと思ってたから、持ち出したんだよ」

いつもの調子でエースは、皮肉を言い出す。そんなエースに呆れながらも、ジャックはカードも持ち、事務所の出口に向かって歩き出した。

「引き出せない銀行に金を預けるなよ…お前の言っている事は、負け犬の遠吠えだ」

ジャックはそう言い残し、事務所を後にした。エースはそんなジャックを見て、満足そうな笑顔で、ジャックを見送った。





「今回の仕事って、一体どんな仕事なんだ?」

事務所を後にした二人は、エースの運転で、何処かに向かっている最中だった。ジャックは助手席でタバコをふかしながら、エースに話しかけた。

「それはまぁ、今回のクライアントの代理人に会った時に話すよ」

「クライアントの代理人?本人じゃないのか?」

エースはハンドルを握りながら器用にポケットのタバコを取り出すと、火をつけジャックに説明した。

「今回のクライアントは、色々忙しい人でさ。直接会って話すのは、結構めんどいんだよ。だから、事情を知っている代理人に会って、今回は詳しい事情を聞こうかと思ってね…そして今から向かう場所は、その代理人が待っている、あのホテルのカフェに行くんだ」

エースはそう言って、目で確認出来る位置にある、ホテルに目線を送る。そしてそのホテルを見た、ジャックは少し驚いた表情をした。

ジャックが驚くのも無理はない。そのホテルは日本にある最上級ランクのホテルであり、日本には星をつける格付けは無いが、あるとしたら間違いなく五つ星のランクがつくホテルだったのだ。
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