神への挑戦
「さてと…これからどうするかな。どこか行きたい所あるかマリコ?金なら心配しなくて良い…最近バイクは買ったけど、まだまだ金には余裕があるしよ」

何だかんだで、15歳の頃からジャッジタウンで、マスターとしての仕事をしているハヤトは、金には余裕があった。

給料が格別に良いという訳ではないが、マスターという役職の手当で、家賃や光熱費などの費用が免除されているので、実質かかる金は食費ぐらいなものなので、金には余裕を持っているのだ。

それに引き換え、ハヤトは、タバコや酒なども身体を本格的に鍛えたいという理由で、辞めていたのも影響していたりする。

「お金は、私もお小遣いあるから大丈夫だよ。いっつも奢って貰ってばかりは悪いし…」

マリコは少し遠慮気味に、そう言うのだが、ハヤトはそんなマリコの様子を気にしていないのか、席から立ち上がり、マリコの横に行くと、少し表情を柔らかくして、マリコの頭をなでる。

「その金は取っておけ。俺は、お前の彼氏だろ?変な気を使うな…俺が良いって言ってんだからよ」

こんな少し粗暴な言い方も、硬派で少し時代遅れな考え方を持っているハヤトの、精一杯の優しさだ。近しい人にしか見せない、この柔らかい表情も…。

そんなハヤトの様子を見て、少し嬉しそうな表情をしながらもマリコは、憎まれ口を言った。

「…お前って言わないでよ。その言い方嫌いなの…うんっ?何これ?」

マリコは、頭を撫でていた手とは逆の手に持っている、小さい紙袋に目線が行った。

「これか?これは…プレゼントだよ」

ハヤトはそう言うと、マリコの膝の上に、ポンと投げ渡した。

「私に?…開けて良い?」

マリコの問いかけに、頷くハヤト。マリコはその紙袋を丁寧に開け、中身を確認すると、凄く嬉しそうな表情に変えた。
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