神への挑戦
そして、電話のやり取りを終えるたハヤトは、駅のホームにある、ドーナッツチェーン店に入り、窓際の席を陣取ると、コーヒーを注文し、外の風景を眺めながら、思案にふけっていた。

そして、時間にして30分ぐらい経つと、ハヤトの携帯にメールが届き、一人の女の子がハヤトの目の前に現れた。

「ハヤトはいつも、いきなり過ぎるよ…お風呂入った後だったから、簡単なお化粧しか出来なかったじゃん。前もって言ってくれても良かったのに…」

「悪いな…俺も、時間が取れると思ってなかったからよ。けど、帰ってきた事だけ伝えようとしてたのに、こんな時間にいきなり会おうって言う、マリコにも問題はあると俺は思うぞ?」

目の前に現れた女の子は、ハヤトの彼女でもあるマリコであった。

中学生の時は、幼さが目立った顔立ちではあったが、もう18歳になるマリコは、年相応に成長しており、簡単な化粧でも、大人っぽさが垣間見えていた。

「そんな事言う普通?会いたいから来たのに…ハヤトは私に会いたくなかったの?」

マリコは、向かいの席に座ると、少し怒った口調でハヤトに話しかける。だが、マリコの問いかけは、ハヤトに会いたかったと言う気持ちを、恥ずかしげもなくダイレクトに伝えていた。

「会いたくなかったと言えば嘘になるな。だからマリコに、一番最初に連絡した訳だしよ…」

ハヤトは不器用で、感情の起伏が小さい。だが、自分の気持ちに嘘を吐くのは嫌いなハヤトだから、マリコに対しての、気持は素直に話す。

昔はそれを恥ずかしいと思っていた節があったが、それも昔の話。今になっては、毎日の様に電話で、さっきの様なセリフを求められているハヤトは、こんなセリフにも慣れていた。

「うん…ありがとっ」

だが、言われているマリコは、慣れてきているハヤトとは違い、素直にハヤトの言葉に喜んでいたりする。そして、そんなマリコの反応が理解できないハヤト…。

どうやら、乙女心とい存在に関しては、理解の範疇が追い付いていないようだ。
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