ミックスラブルス

花原Side 反省、自己嫌悪、救いの手

高畑くんと明西さんが付き合い始めたころ、そのことを知る余地もなかった私はどうすれば高畑くんと仲直りできるのかをずっとベットの上に寝転びながら考えていました。正直直接話せばすぐに済むのかもしれませんが、前の練習試合の時に高畑くんを引っ叩いてしまった罪悪感から話しかけづらくなってしまったのです。

「はぁ~あ、何であの時引っ叩いちゃったんだろう。あれがなければこんなに話しかけずらくならなかったのに」

そう言いながら寂しさを紛らわすために枕元に置いてある抱き枕を抱き寄せた。

「だけどたぶん嫌われてはいないと思うんだよね。あ」

ぶつぶつ言いながら寝返りを打った時、私のラケットが目に入ってきてあることを思い出した。部活でダブルスもやるんだしその後に言えばたぶん話を聞いてもらえるかもしれない。私は飛び跳ねるかのような勢いで上体を起こしながら頷いた。

「そうだよ。不自然に話しかけるよりは自然と普段通りに話しかければ大丈夫だよきっと。だから明日高畑くんと仲直りできるように今日はもう寝よう」

そうして私は明日の決意を固めて、今日は寝ることにした。

「おはよう。さや」

その次の日の朝、私は普段通りに登校したのだがさやは私に気づいた瞬間、すごい勢いで近づいてきた。

「やったよ私、昨日体重が1キロも落ちてたの」

「そうなんだ。よかったね」

あまりの勢いに一瞬後ずさりをしたが、話を聞いて何か問題があったわけではなくて良かった。その後は、さやの話を聞きながら教室の窓際に立っている高畑くんの様子を見て話しかけるタイミングをさがした。すると私がいる反対側の扉から明西さんが明るい笑顔で入ってきて高畑くんに飛びついた。明西さんはいつも高畑くんに素直な態度で接することができてすごいと毎回見る度に羨ましく思ってしまう。

「え、何で?」

「どうしたのりさ?」

「どうして高畑くん、明西さんにくっつかれるのを嫌がらないの?」

「そう言われてみれば確かにそうだね。なんかあったのかな」

そうこれまでは全く周りの目を気にしない明西さんの大胆な行動にびっくりして恥ずかしがって嫌がるのだが、今日の高畑くんは笑顔で受け入れてそのまま窓から外を二人で見ながら楽しそうに話していた。
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