【長編】唇に噛みついて
◆4◆

幼馴染の忠告


⌒⌒Kiyona
\/side


遅刻決定したあたしは重い足取りで仕事場へ入り、デスクにドカッと座った。
そして大きなため息をひとつ。


課長……説教長過ぎ。
ま、あたしが連絡もせずに遅刻したのが悪いんだけどさ。


あたしはもうひとつため息をついて、肩をガクッと落とした。
するとそんなあたしを見て真弓が声をかけてくる。


「どうしたの?遅刻なんて珍しいじゃん」


う……。


真弓の質問に息を呑む。


零と一緒にいて寝坊した、なんて言える訳がない。
絶対……“もしかしてヤったんか”って茶化されるに決まってる!!


「もしかしてヤったんか」


「っへ!?」


まさに予想していた言葉が聞こえてきて、あたしはバッと真弓に視線を向けた。
するとそんなあたしの反応を見た真弓はにぃっと微笑む。


「バレバレ」


「何でっ……」


真弓……エスパー!?
あたしの心の声が聞こえたのか!?


なんて考えていると、真弓はニヤニヤしながら口を開く。


「昨日須藤くんが打ち上げすぐ帰っちゃったって言ってたから♪聖菜んち行ったんだろうなって思ったからさ」


……真弓。
なんて勘が鋭い人なんだろう。


言葉を失っていると、真弓はあたしに顔をグッと近づけて微笑む。
それに驚いて目を少し見開くと真弓は口を開いた。


「で?したの?してないの?」


「う……」



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