【長編】唇に噛みついて

大切なこと


⌒⌒Kiyona
\/side


あれから2日。
毎日のように襲われて、あたしの体力は限界がきていた。


あいつ……何者?
疲れを知らないっていうか……若いからか?
あたしは毎日されて寝不足だっていうのに。
零は日に日に元気になってる気がする。


「のろけてんじゃないわよ。ウザいから」


机に倒れ込んでいるあたしに隣に座る真弓は冷たく言い放った。


「のろけてないから……」


「それをのろけっていうのよ。あー、ウザいウザい」


今日はやけに真弓の毒舌がすごい。
何でも付き合ってる間島くんとケンカしたらしい。
というか、ケンカじゃないか?


「何でー?“最近一緒に居過ぎるから、お互いもっと相手を好きになれるように少し距離を置こう”って何でー!?」


泣きながら真弓はバンバン机を叩いている。


まぁ、そういう理由で間島くんと会っていないらしい。
うん。
よくあるよね。
そういう理由で離れようって言う人。
実際何でなのかはあたしにも分からんけどさ。


「でも、少しの間だけって言われたんでしょ?別に別れようって言われた訳じゃないんだからいいじゃない」


そう言って真弓の頭を撫でると、真弓はキッとあたしを睨む。


「あたしは間島くんとずっと一緒にいたいのー。片時も離れたくないのー」


それは分かるよ。
あたしだって、何だかんだ言ったって。
零が大好きだもん。
だからこうして仕事してる時だって。
家に1人でいる時だって。
何をしてる時だって、零が頭から離れないもん。


「そうだよね……」


どうしよう……。
自分がもし、真弓の立場だったら……って考えたら。
悲しくなってきた。


< 207 / 286 >

この作品をシェア

pagetop