からっぽな街
こういうとき、発想力に欠ける私は、途方に暮れてしまう。ステージには、次々に主催者が並び、マイクを持ち挨拶を始める。
「みなさん、こんにちは。それでは、はじめたいと思います。」
会場が、急に静かになり、一斉にステージを見る。自分だけ、名札に名前が書かれていない。慌てて、太いサインペンで、『ゆん』と書き、首から提げて、前を向いた。
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