先生なんて言わせない

相手は先生なんだから、少なくとも卒業するまではこの気持ちを伝えることもできない。



それなのに、佐野先生はキラキラ輝いていて、まぶしくて、会うたびに落ちていく。


きっと認めたくなかっただけで、4月のあの出会いの時から始まっていたんだ。



「県外に出るから時間かかるし、何だったら寝ててもいいよ」



――県外。


県内で誰かに見られたら困るからかな。



言われたからって本当に眠るのは失礼なんだけど、昨日は緊張でなかなか寝つけなかった。


だから、うなずいて、目をつぶると、あっという間に睡魔に負けてしまった。




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