先生なんて言わせない
だから下を向いてちゃダメだ。
ひざの上に置いた両手にきゅっと力を込め、握りこぶしを作った。
そして、ゆっくりと安藤先生と瞳を合わせた。
それから何事ともなく一時間がすぎた。
安藤先生とふたりで話すわけじゃない。
おびえる必要なんてなかったんだ。
ホームルームも終わり、放課後に、あたしは軽い足取りで体育教官室へと向かっていた。
約束したし、あれだけ心配かけたんだから、ちゃんと報告しないとね。
「高村さん」
誰かに呼ばれて、ふり返った。
そこにいたのは、安藤先生だった。
西日照らす室内。
あたしは体育教官室ではなく、国語科準備室にいた。