隣の先輩
 それは他の誰かにかけられるものとは違う。


 先輩だからそう感じてしまうんだろう。


「先輩もね」


 やっとそんな言葉を引っ張り出した。


 先輩は私の顔をじっと見ると、私の頬を抓った。


 痛いと文句を言う前に、先輩が私に言葉を向ける。


「賭けしない?」

「賭け?」

「俺のクラスが優勝したら、一つ言うことを聞くって。優勝しなかったら、俺が聞いてやるよ」

「それって先輩に不利じゃないですか」


 優勝するかしないかって、かなり限定的な条件すぎるんじゃないか、と。
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