隣の先輩

「うん。大丈夫。宮脇先輩が庇ってくれたから」

「よかった。恵利が手が滑らせて」


 恵利は同じクラスの子の名前。


 愛理は宮脇先輩に頭を下げてお礼を言っていた。


 彼女はコートに戻る前に私の額を軽く小突く。


「ここでボーっとしていたら危ないよ。咲が一緒ならともかくさ」



「ごめん」


 私が変なことを考えていたので、迷惑をかけてしまったんだろう。


 確かに延々と物事を考える場所じゃない。


 なんだか申し訳ない気分になってきてしまった。

「でも、真由が怪我しなくてよかった」


 彼女はそう言って、私の頭を撫でると、コートに戻る。

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