隣の先輩

 私は部屋に戻ると、なんとなくベランダに出た。

 私の家からは裕樹と私の部屋、リビングからそれぞれベランダに出ることができ、ベランダの外でつながっている。


 だから、右手に行けば裕樹の部屋やリビングに行ける。


 裕樹はもう小学校がはじまっていて、まだ帰っていない。


 左手には石造りの敷居があり、身を乗り出さないと隣を見ることができないベランダがある。


 その先に彼の部屋があるんだろう。


 これから、ここで過ごす日々の中で、彼のことをもっと知ることができるのかな。


 そう考えるとなんとなく表情を綻ばせていた。
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