隣の先輩
 ドアを開けると、すぐにすらっとした男の人の姿が目に飛び込んでくる。


 その視線は空の向けられていた。


 私が声をかける前に、彼は振り向くと笑顔を浮かべていた。


 ドアの開く音が聞こえたんだろう。


「おはよう」


「おはようございます」


 西原さんの足元しか見えなくなるように深く頭を下げていた。


「そんなにかしこまらなくて大丈夫だよ」


 顔をあげると、困ったような笑顔を浮かべていた。


「でも、あれでよく受験のとき学校に着いたね」
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