隣の先輩
 自分が入ったときは嬉しくてたまらなかったのに、勝手だと思う。


 荷物を置き、自分の部屋に入るとベッドに横になる。


 宮脇先輩は先輩の家で何をしているんだろう。


 私の部屋の壁の向こうが先輩の部屋で、もしかしたら宮脇先輩もその中にいるんじゃないかと思うと、すごくもやもやしたような気分になってきていた。


 勉強をするにも、本を読むにも、隣のことが気になってきてしまっていた。


 やっぱり出かけよう。そう思って、玄関の扉を開けたときだった。


 目の前に男の人が立っているのに気づいた。


「真由ちゃん?」

「依田先輩? 西原先輩の家に用事ですか?」



 思わずそう口にしていた。


 依田先輩は私を見て、苦笑いを浮かべている。
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