隣の先輩
 私は二人に顔を合わせたくなくて、建物の影に隠れていた。


 先輩は、文字通り誰からの告白も受けようとしなかった。



 それは受験だからか、誰か好きな人がいるからか、分からない。


 でも、そんな先輩にも前は彼女がいて、その人がすごく綺麗な人で、優しい人。


 考えると、また複雑な気持ちになってきていた。


 りんごの写真が印刷されたパッケージの上部の銀色のところに、ストローが差し込まれる。


 そのタイミングを見計らったように明るい声が聞こえてきた。


「告白したらいいんじゃない?」


 そう言ったのは愛理だった。


「告白なんて無理だからっ」


 言われているのはもちろん私だった。


「言ってダメだったら諦めるってのは?」


「人の気も知らないで」


「まあ、私にはさっぱり分からないからね」


 愛理は大げさに肩をすくめていた。


 先輩が遠くの大学に行くことを依田先輩から聞いたみたいで、愛理はそう言ってきた。
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