隣の先輩
 彼の整った顔がこちらに向けられて、ドキッとする。


 だが、その表情がすごくかわいい感じのものに変わる。


「悪い」


 彼はそう言うと、手をあわせる。


 すごく屈託のない笑顔だった。見ているこっちがうれしそうなほどだった。


 私は首を横に振ると、それを手渡す。


 彼の名前は森谷航太という名前だったはず。


 私は視線を戻すと、自分の机に目を向けることにした。


「本当、悪いな」



 放課後、そんな声が響いた。


 隣の席に目を向けると、彼が笑顔を浮かべていた。


「気にしないで」


 私はそれを受け取ると、鞄の中に入れた。
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