隣の先輩
 私は何度もうなずく。


「じゃあ」

「あの」


 先輩を呼び止めたのは私だった。


 先輩はゆっくりと振り向く。


「お誕生日おめでとうございます」


 そう言ったとき、裕樹が笑うのが分かった。


 多分、変な顔をしていたんだろうって思う。


「あ、裕樹から聞いた?」


 先輩はそうさらっと言っていた。


 私は彼の言葉にうなずく。


「これ、僕からのプレゼント」


 裕樹はそう言うと、何かを先輩に手渡していた。


 手紙というよりはカードみたいなもの。


 バースデーカードなのかな?


 先輩はそれを見て、目を見開く。明らかに動揺していた。


 裕樹はそんな先輩を見て、楽しそうに笑う。


 先輩がそこまで動揺するのを始めてみた。先輩に何を渡したんだろう。


 気になるけど、二人の秘密みたいでなかなか近寄れなかった。
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