隣の先輩

 先輩たちは自分の夢に向かって頑張っているんだ。


 閑散とした教室はそのことを教えてくれる気がした。


「どうかした?」


 電気の消えた三年の教室をじっと見ている私に声をかけたのは愛理だった。


「なんかこうやってどんどん人が入れ替わっていくんだと思うと、不思議だけど切ないなって思ったの」


「でも、そういうもんだよね。三年と隣の教室になるなんで始めてだからそう思うのかもね」


 そう言うと、愛理は私の頭を軽く叩いた。


 元気を出せと言いたいんだろう。


「でも、今はまだ先輩と会えるんだからいいんじゃないの?」

「別に先輩だけのことを言っているわけじゃなくて」

「分かっているよ。でも、時間ってそういうもんだからね。

どんなにとめたいとか思ってもとめることも過去に戻ることもできないから。

今って本当に今しか存在しなんだなって思うときがあるよ」


 その言葉に夏休みに先輩と一緒に映画を見に行ったことを思い出していた。


 今、か。


 私は今、どうしたいんだろう。
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