キョウアイ―狂愛―









「クレア様、ご覧になってださい」


「今日はドレスが届いておりますよ」




アルザスの城の召し使いははしゃぎながらクレアにドレスを広げて見せた。





「しまっておいてください……」




このところ毎日の様にサイファの屋敷から、ドレスや装飾品が贈られてくる。


その日、何が贈られてくるかは召し使い達の、もっぱらの噂の的だった。





アルザスは苦笑し、


「我が十分な衣服を用意しておらぬようではないか」

こうもらした。






実際クレアも毎日のように届く贈りものにうんざりしていたが、


油断させる為、サイファの前では喜んだフリをしなければならなかった。





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