キョウアイ―狂愛―





「サイファありがとう。
とっても素敵なドレスだわ」



この言葉と共に微笑みを向けると、更に豪華な品が後日届くという仕組み。





クレアがサイファに積極的に話しかけるようになってから、益々、サイファは城に寄り付くようになった。

サイファが来ると城の召し使い達が、色めきたつ。


城はここしばらく華やかな空気に包まれていた。








始めのうちは、クレアが見かけた際に、一言声をかけると、サイファは困ったような居心地の悪い表情をしていた。


今までが嫌われている事を前提に会話していた為だろう。




それでもクレアが続けて声をかけてるうちに、サイファと自然と打ち解けていった。




そうなってからクレアは気づいたのだが、サイファは、クレアが素直に従っていれば驚く程に優しかった。


贈り物は山のようだし、

今までいがみ合っていたのが嘘のように、純粋に美しい微笑みをクレアに向ける。





『サイファ様は……本当はクレア様に優しく接したいのですわ』



以前、マイメイが言っていた言葉が思い出される。



(あの言葉は本当だったのかも……)



クレアが声をかけると、サイファは見惚れる程、美しい笑顔を返した。



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