キョウアイ―狂愛―
噂などというものは、瞬時に街を駆け巡る。
(ならば……)
「……いたしかたあるまい」
アルザスは即座に答えを出した。
「リドル家は魔の巣窟であった。我らは謀(たばか)られていたのだ。
このまま化け物共を放置できるはずもない」
膝まづき、もっともらしく目を臥せ聞き入るローヌにこう言った。
「リドル家に火を放て!」
ローヌが去った後、アルザスは、窓に立ちリドルの屋敷の方角に目をやった。
サイファよ。
やはり、我ら人と、そなた達、人外の共存は無理があったな。
我、個人としてはお前の事は嫌いではなかったゆえ、おしくはあるが……。
やはり……お前達、人外は儚い。
永き命を持ってしてもいづれは地上からはじかれる種なのであろう……。
しかし、
かといって
果たして我ら人間は地上の覇者と成りうるのだろうが……?
アルザスの疑問に答えなどある訳もなく、やがて窓の外の東の空が紅く染まっていった。
それは朝日よりも激しく濃い紅だった。