キョウアイ―狂愛―









その日の夕刻になってからようやくリドル家を焼き尽くした炎は鎮火した。

それまで街を紅く染めていた炎に変わり、今度は夕日が街を紅く照らし始める。





焼け跡から何体もの人でない遺体が発見され、人々は人外の怪物が街に公然とのさばっていた事実に恐怖した。




当主サイファ=リドルの遺体は判明しない内に、全ての遺体は幻のように灰と化した。






誰が鳴らしたか晩鐘が、失われた魂を悼むように、長々と鳴り止む事がなかった。















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