キョウアイ―狂愛―
サイファはほんの数刻だけソファーに座り仮眠をとった。
しかし、寝覚めが悪い。
―――クレアが逃げ出した。
とっくに諦めているだろうと過信していた。
しかも、手引きしたのは一族の者。
その亡骸の口に溢れていた血液はクレアのものだった。
サイファの怒りは募るばかり。
「申し訳ありません。
私の注意不足でした……」
青ざめた顔を伏せフォンが告げるには、クレアは自分との血の繋がりを知ってショックを受けていた、と。
「いかなる処分も受けます」
覚悟している様子のマイメイを平手で体が飛ぶくらい強く叩いた。
「お前の処遇などどうでもいい」
俺の望みは一つしかないと言うのに―――
何故、それが叶わない?
クレア
連れ戻したあかつきには、お前を地下に幽閉してしまおうか―――
サイファはそんな風に思い詰めながら、屋敷より少し小高い所にある領主の城へ馬を駆った。