甘い魔法②―先生とあたしの恋―


ぎゅっと服を掴んだあたしを、先生が見る。

そして、無理してるのがバレバレな顔して微笑む。


「……ごめんな。

少しだけ考えさせて」

「……やだ」

「市川……」

「やだよ。……そんなの、絶対やだ」

「……俺が、つらいんだ」


言われた言葉に一瞬ひるんだけど、そのまま動かずにいた。

だけど、そんなあたしをしばらく眺めた先生の手が、あたしの手を掴む。


握り締めた服を離させた先生の手が、最後にあたしの手を離す。


すべて、優しい手つきで行われたのに……。

言葉にならないほどのショックが走った。



初めてされた拒絶。

身体が動かない。




「……ごめんな」


先生の言葉が、むなしく響いた。











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