甘い魔法②―先生とあたしの恋―


「……なに?」

「秋穂に妬いてんのかなーって」

「……秋穂ちゃん、先生の事が好きなんだね。何度も、とか言ってたけど……いつから?」


顔色を変えずに普通に返したのが予想外だったのか、先生はつまらなそうにキャップを触って答える。


「秋穂は、俺が中学ん時に入所してきたんだけど、あいつ、あの性格だからなかなか馴染めなくて」

「あの、ってどんな?」

「市川に接した通りだよ。人見知りっつぅか……なんか、相手をまず威嚇する癖があるみたいでさ。
最初は、『何睨んでんだよ』って他の奴らとケンカになったりして。

で、見かねた里子さんに頼まれた俺が他の奴らとの間を取り持ったら、なんかそれから好かれちゃってさ」

「そうなんだ……」


施設で育ったからって変な同情を掛けたりはしないし、そんな事したら失礼だとも思うけど……。

でも、秋穂ちゃんも何かしらの難しい問題があって施設の預けられたんだって事を考えると。

何かしらの原因があって、他人を威嚇するんだと思うと……。


なんか……胸のあたりが、霧がかかったみたいにもやもやし始める。

それは煙を吸い込んだみたいに、あたしを息苦しくさせる。






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