甘い魔法②―先生とあたしの恋―


「……俺よりいいプロポーズすんなよ」

「旦那さんが尻に敷かれた方がいい家庭を築けるんだって。

こないだテレビで言ってたよ」


笑った先生に、そのまま、先生の胸に抱き寄せられた。

ぎゅっとゆっくり抱き締められて、あたしも先生の背中に手を回す。


心臓が、トクンと心地よく高鳴る。


「どっちでもいいけど。

……おまえと一緒にいられるならそれで」


甘く低い声が、先生の胸から響いてくる。

あたしをじわじわと溶かしていくみたいに甘くて、大好きな声。


胸なんかぎゅうって締め付けられてるし、溶け出した頭は何も考えられないくらいに先生でいっぱいで。


愛しくて仕方ない先生を、ぎゅっと抱き締めた。


「……実姫」


先生の鼓動だけを聞いていたあたしの耳に、聞きなれない言葉が入り込んできたのは、しばらく抱き合ってからだった。

びっくりして反射的に見上げたあたしを、先生が優しく細めた瞳で捉える。






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