甘い魔法②―先生とあたしの恋―


近づいてくる唇。

だけど、慣れない呼び方をされたせいで、なんだかくすぐったくて、ニヤけちゃって。


「……おまえ、キスしながら笑うなよ」

「だって、先生が急に名前で呼んだりするか……ん、…ふ」

「だから途中で笑うなって」

「だって、……」

「10秒黙ってろ」


命令されて、照れたのを隠すために笑っていた口を、きゅっと結ぶ。


そこに重なる先生の唇。

……先生の存在を強く感じるキス。


たっぷりと時間をかけてキスをした先生が、一度離れてからもう一度軽いキスをする。

それから目を合わせて微笑んだ。


「じゃ、行くか。写真撮影会」

「うん」


差し出された手を握り返して、寮のドアを開ける。


春の柔らかい日差しが、あたたかくあたし達を包んだ。














「甘い魔法②―先生とあたしの恋―」

END




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