他校の君。【完】
そんなこんなで改札を出て駅の外。
電気で駅内は明るかったけれど、外は暗くなっている。
ここで一臣君が『送ってやるよ』なんて言ってくれたら、もう少し一臣君と話せるんだけれど…。
でも、そんなの期待しちゃダメだよね。
だってあたし達はほぼ初対面だし。
例え、初対面じゃなくて仲が良かったとしても、『送って』なんて図々しい事言えない。
チラリと隣に立つ一臣君の様子をうかがうように盗み見る。
ドキッ
「………っ」
一臣君があたしを無言で見下ろしていたから、目があっちゃって、心臓がはねてしまったあたしは、サッと視線を下に落とす。
(何で、また見られてるんだろう)
あたし、何かついてる?
どこか変?
「あのさ…」
「は、はい?」
ドキドキと止まない心臓に自分の体温が徐々に上がって行くのを感じながら、あたしは一臣君の言葉の続きを待った。