他校の君。【完】


駅の外に向かって歩きながら、また隣を歩く彼女を眺めてしまう。

ー…何かやっぱ見た事ある気がする。

どこでだっけ?

さっき、今はどうでもいいって思ったばっかなのに、また気になり始める



「あんたさ?何で敬語使ってんの?」


けれど、俺の口から出た言葉はこんな言葉。

どっかで会った事ある?なんてやっぱり言いたくない。


そんな心境でかなりどうでもいい事を聞いた俺に彼女は

初対面だとか、なんだとか言っていた。


(…んだよ。やっぱ初対面かよ)


会った事があると思ったのは俺の気のせいか。

一人そう納得してから、駅の前で彼女と別れた。


暫く歩いてからふと思う。

暗いし、送った方がよかったんじゃねぇの?

今更か?とか思いながら振り返ったら、彼女は既にいない。


(ま、いっか)


帰ったんなら。


俺は彼女がいた場所から視線を外し、また歩き始めた。






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