他校の君。【完】

がっくりと肩を落として、一臣君からみっちゃん達に視線を戻す。

すると、


「よかったね。香澄」


なんて笑顔で言われた。

よくなんてないよ。

だって今笑われちゃったんだよ?

なのに、それのどこが『よかった』の?


「顔、覚えられたかもよ?そんで、次の合同練習で『あ、あの時の子』とか思われたりして」

「………」


にへにへするみっちゃんに、あたしはさらにがっくりしてしまう。

そんな上手い話がある訳無いよ。

だってあたしだったら、あんな一瞬目があったくらいの相手を覚えるなんて無理。

目が合ったのは凄く嬉しかったんだけどね。


ー…まあ、例え覚えてくれたとしても、

そんな覚えられ方


(やだな…)


どうせ覚えられるなら、もっとマシな覚えられ方をされたい。

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