一枚の壁









「嫌です。

子供とクリスティーナから離れることは出来ません…」





ハンスは泣いている。









「貴様のように自分の意志もなく、命令だからと人の命を売るような男に娘と孫を養わす訳にはいかない…

それが結論だ。




お前の親父、フランツには俺からクリスティーナとの婚約解消を申し出る。

生まれてくる子とお前は無関係だ!」










「パパ………

私はハンスを愛してる。




ハンスがどんな人間でも。」











「今だけだ。

二度とハンスには会うな。



生まれてくる子に父親はいない。


いいな?」







「嫌よ!!」





「これは父としてのお願いだ…

クリスティーナ」






「親父さん!!」






「出ていけ――!」




















凄まじいやりとりの後、ハンスと私は引き離された。

そして婚約は解消された…














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