valentine×kiss×2


「明日でバイトも終わりだね。何だかあっという間だったなぁ」

「そうだね。オレはさえちゃんに会えなくなるのが寂しいよ」

「またまた。そんな事言ってくれちゃってぇ」

最初は、いつものそんな軽いやり取りをしてたけど。

「今日はね、先日の返事がしたくて」

やっと切り出せた。

「うん」

私は誠実にちゃんと返事しなくちゃ。


「私ね、このバイトで楽しかったよ。釜石さんはちょっとだけど。それ以外のメンバーはみんな仲良しで、居心地が良かった」

「うん」

「熊ちゃんと仲良くなれて楽しかった」

「うん」

「一人っ子の自分に、本当にかわいい弟が出来たみたいで嬉しかった」

「…………」

「でね…」

「もういいよ。オレの事、弟にしか見れないんだろ?」

目の前にいる熊ちゃんは、何とも言えない表情で苦笑いしてた。

「ごめんなさい」

< 21 / 40 >

この作品をシェア

pagetop