Ⅹ(クロス)

Ⅷ. 動き出した意志

――ゴトッ

バル・ヴィバックの地下室。

ライトは持っていたコーヒーカップを手から滑らせる。


「今・・・」


「どうした?ライト」

ブロスが怪訝な目でライトを見る。

「お前らしくない。」


「リディアさんが・・・妹が・・・目覚めたようです。」


「記憶が戻ったか? それとも・・・」


「ええ。 おそらくその両方でしょう。

どうやら、巨大な力を手に入れたようです・・・。」


ライトは、その両方の手のひらを見ながら呟く。

「物凄い気の力だ。ここまで、こんなに強い波長が・・・」


「クロス・・・降臨か。」


「ええ。 早く、ジャコスさんに連絡をしなくては。」


――バタンッ



「その必要はねェよ。」

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