Ⅹ(クロス)

Ⅳ. 闇の中の刺客

――ひた・・・ひた・・・ひた

リディアは、鳳凰の間へ通じる広い廊下を早足で歩く。


真夜中の王宮は、暗い闇の中に、ひっそりと静まり返り、リディアの室内履の音だけが小さく響いている。


リディアの歩く足元には、小さな灯りが点々と灯り、まるで道しるべのように廊下の奥まで続いている。


(ぇ?)


廊下の奥の方で、黒っぽいものが動く気配がした。

それは、反対側の階段の方へとすっと消える。


(あれは・・何かしら・・・)


リディアが廊下の中程まで来たとき、

突然、その足元の灯りがひとつ、ふっと消えた。


(何?!)


ふと前方を見ると、鳳凰の間の大きな扉から青白い光りが漏れている。


(どうして・・扉が開いているのかしら・・・。)


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