ハッピーエンド・スーパーノヴァ
 ポテチの袋から聞こえる音量は先ほどよりも少しずつ上がっているようだった。

ボスはポテチの袋を前に、右手に並ぶ住宅街に、電波の発信源を探すためにかざしながらゆっくり進んでいる。

アンテナ少女の歌もサビに突入し、俄然、熱を帯びてきた。

『でっあいっはっ おっくせんまんのっ むなさわーぎー

まばゆいくらいに エキゾチック・ジャパーンッ!』

ヨドミちゃんは「おっくせんまんっ おっくせんまんっ」と楽しそうにコーラスしている。

はたから見たら俺たちは完全に不審者だろう。

アンテナ少女見失い地点から十メートルほど進んだあたりで、俺はふとダイバーのことを思い出して後ろを振り返り、彼のアパートを見た。

先ほどのアパートのベランダに、全身黒ずくめの男が姿を見せている。

「ボス、ギャラマサが」

俺はボスを呼び止めた。
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