ココア


 
『おー。今年は短冊、
いっぱいだねぇ。』


コーラスの打ち合わせのために
貸してもらった、
レッスン会場の空き部屋


恋(レン)ちゃんと共に
小部屋の隣に鉢植えされた
笹を眺める。


毎年恒例の
昼間の子供向けのイベント

子供の字で、いっぱい短冊が
書かれ、くくられてる。


サイドテーブルの上の、
小さな籠には、
色鮮やかな短冊と共に、
マジックが入っていて、
恋ちゃんが、自分も書きたいと
受付嬢にごねだした


「ホントは、子供さんだけ
なんですけどー。
いいっすよ」


苦笑しつつも、奨めてくれる。


「但、想定外なんで
こっちの紙、使ってください。」
 

渡されたのは、
短冊に不向きな、
金と銀、黒の色紙と
白いマジックだった。


 
< 21 / 65 >

この作品をシェア

pagetop