イミテイション

「じゃあ帰るから」

そう言ってその場から立ち去ろうとしたとき、直人があたしの腕をつかんだ。


「何?」

内心、すこし期待している自分が嫌だ。

「トモ…ごめんね」

直人が今まで見たことが無いほど切ない顔をしていた。

それを見てドキドキしている自分も嫌だ。

涙で視界が歪む。

「ごめん…」

直人の手を払って急いで部屋に戻った。


もうすべてが嫌だ。

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