イミテイション


直人がすこし照れ臭そうに話しだした。

「私事で悪いんだけど…今日俺ね、好きな子を会場に呼んでるの。
それでね、俺はみんなが認めるサディストだから…その子には散々悪いことしちゃって。
ついには愛想つかされちゃったんだよね」


それってもしかして…

あたしのこと?


いきなりのことで、頭がついていかない。

「彼女には好きな人がいるらしいんだけど、それでも俺は諦められなくて。
この思いを伝えるにはどうしたらいいのかなーって考えたら…
案外身近なところに素晴らしい曲があったんだよね。
俺の大好きなクラプトンもこんな風に歌ってたんだ。
この曲の意味は俺が散々力説したからたぶん彼女はわかってくれると思う。
だから返事がどうであっても、もしトモがこの曲を聴いてるなら、俺の返事に答えてほしい」


あたしのもやもやした気持ちは、確信にかわった。
隣にいる岩崎を見ると、微笑んでくれた。


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